◇四字熟語で語彙力・日本語力を高めよう!

 

四字熟語の定義

四字熟語とは、文字通り漢字四文字で構成された熟語をさす用語です。この漢字四文字から成る熟語の数はそれこそ数万を数えるほどに存在しており、そのすべてが四字熟語として認識されているわけではありません。カッパ画像もちろん、なにをもって四字熟語とするのかは意見のわかれるところですが、狭義での四字熟語についていえば、漢民族独自の四文字表現(中国では成語)が日本の言語体系に取り入れられ、慣用語として広く今日まで用いられてきたものということができます。

 

しかし、人の認識度合いはそれぞれの知識や語彙力、経験などに大きく依存しており、その違いを考えると四字熟語の範囲を明確に定義することは非常に困難であるといわざるをえません。正しい四字熟語解説と適宜な用例をウリとする当『こよみん実用・四字熟語辞典』も同様にその困難に直面しているわけですが、原則として前述の通り、古くから慣用句(慣用語)として広く用いられてきたものが四字熟語であると解釈しています。慣用句とは長きにわたり、複数の語が意味を有して固く結びついたいい回しのことです。

 

たとえば「一期一会」「温故知新」「山紫水明」など、古来、慣用句として認識されている四字熟語は四つの文字が密接に結びつき、ひとつの独立した意味(成句)となっています。逆に「道路標識」「日常生活」「焼肉定食」のような語を狭義の四字熟語と認定しにくいのは、これらの語が「道路」と「標識」のように、二つの熟語をたんに並べただけの複合語に過ぎないことが誰の目にも明らかだからです。つまり「弱肉強食」はまぎれもなく四字熟語であるのに対し、「焼肉定食」はたんなる複合語ということです。

 

言ってみれば、近年、日常的に見聞きするようになった「環境破壊」「先端医療」「契約更新」「人身事故」などの漢字四文字による熟語の数々は、あえて四字熟語として学ばなくても、また辞典になくてもその意味が子供にも容易に理解できます。つまり二つの熟語をつなげれば無数に造語できてしまう複合語は、前記に述べた歴史の重みや含蓄、また、すでに慣用語化しているといった意味において狭義の四字熟語には遠く及ばないわけで、このあたりのことを念頭に置きながら四字熟語を学ぶことが大切ではないかとひそかに考えます。

 

さらに、四字熟語のなかには「竹馬之友」や「出藍之誉」のように、過去の遺物ともいえる「之」を「の」と発音する語がすくなからずあります。これらの語は、もはや四字熟語とはいうものの、発音のまま「竹馬の友」「出藍の誉れ」と記すことがすでに定着しており、監修者としては四字熟語の範疇にはない気がします。むろん、日本語が乱れに乱れたまま用いられている現今、四字熟語そのものを学問的にきちんと定義することが難しいことは理解できます。実際、四字熟語辞典などの収語基準も出版社によってまちまちで、四字熟語か否かの判断そのものは監修者の学問経験や感性にゆだねられているのが現状です。

 

当サイトでは、そういう意味では収語基準をいくぶん厳しめとし、一般にいうところの四字熟語とは、昔から日本人が広く慣用句として使いつづけ、かつそこに独立した意味をもつ語としての共通認識を多くの人が有している成句のこと、つまり、漢字四字のなかに歴史や含蓄を感じさせる語が「四字熟語」であると定義しています。

 

四字熟語の賢い用い方

さて、この四字熟語ですが、日本漢字能力検定の5級から1級までの出題範囲にもふくまれています。また、国語の入試や企業の入社試験などでもよく出題されるなど、現代社会にあっては一つの教養とみなされています。

 

とはいうものの、知っていたり使われたりする四字熟語の数は人によって差があり、適宜に使いわける必要があります。たくさん知っているからと、知識をひけらかすかのように頻発することは逆にマイナスともなります。つまり、あまり一般的ではない難しい四字熟語を多用するとかえって文章や会話の理解を損ねたり、いかにも自慢げで嫌みと受け取られたりしかねず、使いどころを間違えないことが肝要です。冒頭にも述べている通り、日常の生活においては難解で意味を成さない四字熟語は使わない、また、覚える必要性すらないというのが当サイトの方針です。

 

実際、ネット上に数ある四字熟語サイトの多くは、一生使うことのないような四字熟語まで掲載しているものがほとんどです。それはそれで、どんな四字熟語が存在するのかの参考とはなりますが、社会人として身に付けるための四字熟語を学ぶという点では、難解な数千にものぼる四字熟語掲載はわずらわしいだけです。WEB辞典は収録の数ではなく、いかに実用的な四字熟語を身につけるかが大きな目的です。したがって、当サイトでは知っていて損のない四字熟語を選び抜いています。あえていえば、当サイト掲載数の半分以下にあたる300語も覚えれば、立派な知識人の仲間入りでしょう。

 

加えて、当サイトの制作・監修にあたり、もっとも心を砕いたのが四字熟語の解説(意味)とともに示す、四字熟語の用例(例文)です。四字熟語の解説そのものはすでに文章として固着しているものの、適宜な使い方を示す【用例】をいかに作成するのかを重要視し、そこに全身全霊をかたむけました。意味がよくわからなくても、具体的でわかりやすい用例を掲げておけば使いどころが明確になり、意味の理解も深まるというものです。したがって、当『実用・四字熟語辞典』の最大の特長は「誰にもわかりやすい【用例】にある」と自画自賛もふくめて強調しておきたいと思っています。

 

さて、私たちはふだんの会話や文章などに、意識的、無意識にかかわらず四字熟語をよく用いています。それは、平易な表現に較べて力強い印象を持たせることができるうえ、同じ意味の言葉でも、漢字四字で構成される語の方がわかりやすい場合が多々あるからにほかなりません。

 

たとえば、「いい商品だとわかってもらえると思います」よりも、「いい商品であることは一目瞭然です」という表現の方がよりインパクトを与えることができます。なにかを伝えるとき、故事や仏典などに由来する四字熟語を用いた場合、そこにふくまれる情報量が多いことから、共通知識を有する者どうしであれば意志伝達の助けとなったり、表現の幅を広げたりすることができます。つまり、自然で適宜な用い方をすることで、四字熟語がもつ特性を十二分にひきだすことができるのです。

 

近年、薄っぺらで意味不明な若者言葉や略語、また、インテリや政治家などが必要以上に用いる外来のカタカナ語などが巷で飛び交っていますが、そうした時代だからこそ、含蓄ある四字熟語を適切に用いたほうが、どれほど意思疎通に役立つかしれません。いうなれば、
・難しい四字熟語を自慢げに、あるいは無意識に多用しない。
・場面によって適宜でわかりやすい四字熟語を用いる。

この二点をしっかりと踏まえたうえで活用することで、知性の輝き、重みが増すということです。長々と述べてきましたが、ぜひとも、『こよみん実用・四字熟語辞典』によって自分の個性や人生の指針としての四字熟語を見つけ出し、座右の銘(モットー)とされることを願っています。

                                                     制作・監修者

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